レマン湖の湖畔に位置し1967年から毎年7月初旬に行われる世界的なイベントとしても知られるモントルー・ジャズ・フェスティバルで有名なモントルーのバンカーのアランさんのお家を訪ねて普段の過ごし方をお聞きしてみました。
スイスの中でもフランス語圏に位置するモントルーは、スイス・ヴォー州のコミューンとしてフランスの国境からも近い。
この地では、12世紀頃から葡萄の栽培がはじめられワインの産地としても食通の間では、知られている。
オリエント急行が、颯爽と走り、王侯貴族や芸術家達が、集まったベルエポックの古き良き時代を今も残している創業1906年のフェアモント・ル・モントルーパレスのロビーで待ち合わせて自宅を訪ねた。
編集部 (以下R):ところで、アランさん、玄関の脇の壁にぶら下がっている「葉巻掛け」みたいなのは、なんですか?
アラン(以下A):あれは、ボードに記してあるとおり「喫煙すると幸せな1日が、送れますよ」「葉巻は、幸せになれる」「喫煙は、幸せになれる」そんな意味だろう?
R:玄関にこんなのが、掛かっている家の訪問は、初めてですよ。この辺りは、みんなそうなんですか?
A:いや、うちだけでしょ?
R:しかし、年期が、入ったボードですね。
A:そりゃそうさ、今、掛けてあるビリガーのプレミアム・チューボのViliger社が、できた1888年のちょっと後に祖父が仕事でヨーロッパ各地を回っていた時に手に入れたと父から聞いてるよ。この辺りのものじゃないよ。ここは、フランス語圏だからね。
R:ボクには、判りやすくていいですよ、じゃ、フランス語ではなんていうんですか?
A:フランス語でかい?そうだな、「Le Fumer est Heureux」ってとこかな?
R:それにしてもこれなら出勤前に目にするから忘れませんよね。
A:そうなんだよ、1975年ころから世界各国で行われた「出かけるときは忘れずに(Don't Leave Home Without It)」をメインコピーにしたカード会社のキャッチは、覚えているだろう?
R:そういえば、20年くらい前に日本でもよくテレビから流れていましたね。
A:これは、あれと同じで我が家に代々伝わる「出かけるときは、忘れずに!」ってやつの見本みたいなものだよ。代々と言うほどでもないけれどね。(笑)
R:じゃ、出勤前にこれを見て鞄に入れ忘れたなと思ったらここから1本抜いていくんですね。
A:そうそう、なくなれば女房が、便利なチューボを近くのスーパーで買ってきてまた、掛けて置いてくれるのさ。
R:へぇ?、よくできた奥様ですね。
A:とにかく、そんなところに突っ立ってないで奥へ。まずのワインでまず乾杯しよう。
R:はい、はい。